事業承継
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事業承継で失敗しないための注意点
1 事業承継をお考えの方へ
経営者の方にとって、後継者に安定的に事業を引き継ぐことはとても重要です。
事業承継で失敗しないために注意しておくべき点としては、①遺言書の作成②遺留分の考慮などがあります。
2 遺言書の作成
例えば、経営者、配偶者、子(A、B、C)が3人いた場合について考えていきます。
この時、経営者は、会社の株式1200株(時価総額1億円)、会社に対する1億2000万円の債権を持っていたと仮定します。
経営者の方が、子Aを後継者として指定し、会社経営の全般を任せていた場合でも、遺言書を残さずに相続が発生してしまった場合には、原則として配偶者及び子3人は法定相続分に従った相続を行っていくことになります。
そのため、会社の株式は配偶者600株、子ABCが各200株を取得することになります。
そうすると、後継者として指定されていた子Aは全株式の15%しか取得できないため、会社に対する支配権を従前に行使することができなくなってしまうのです。
また、会社に対する債権1億2000万円についても、原則として法定相続分にしたがって分割されてしまうため、各相続人が会社に対して債権の返還を求めた場合には、最大で1億円もの資金が流出してしまう危険性があります。
この事態は、遺言書の作成を行っておくことで対策できた可能性があるため、このような事態に陥る前に弁護士に相談することをおすすめします。
3 遺留分を加味した対策を行う
上述の事例で、仮に経営者が全ての財産を子Aに相続するという遺言書を残していたとしても、他の相続人から遺留分侵害額請求権を行使する可能性があるという点に注意が必要です。
遺留分とは、各相続人に認められた最低限の相続分のことを指しており、子や配偶者が相続人となるケースでは、法定相続分の2分の1が遺留分侵害額として規定されています。
上述の事例ですと、配偶者には、法定相続分1億2000万円の2分の1に相当する6000万円、子BCには法定相続分各4000万円の2分の1の各2000万円を遺留分侵害額請求権として有しています。
この時、Aは配偶者、B、Cに対して総額で1億円を支払わなければいけない可能性があり、仮に遺留分侵害額請求権が行使された場合には、株式か会社に対する債権を現金化して支払わなければならないため、事業承継が失敗する可能性が高くなることになります。
そのため、遺留分に対する対策までを考えて事業承継を行っていく必要があるといえます。