弁護士に相続相談をした場合に聴くべきポイント
1 事実関係をしっかりと弁護士に伝える
まず、大切なことは事実関係をしっかりと弁護士に伝えることです。
ここで重要なポイントは、相談者の方が「話したい内容」と弁護士が「聞きたい内容」が違うことがあるという点です。
例えば、仲の悪い相続人同士の事例ですと、「相手の対応がどんなに酷いかを弁護士に分かって欲しい」と考え、相談時間いっぱいそのことをお話する相談者の方がいらっしゃいますが、それは弁護士が事案を把握し、適切なアドバイスをするために必要な内容と必ずしも一致しない場合があります。
相続相談に慣れている弁護士であれば、相談者の方のお話を上手にリードするでしょうから、そこは弁護士に任せた方がいいこともあるかと思います。
また、どんなことを弁護士に聞きたいかをあらかじめ書き出して、書類で準備しておくこともおすすめします。
その際、相続関係が分かる戸籍謄本や遺産関係が分かる固定資産税の通知書等をお持ちいただければ、スムーズにご相談が進みます。
2 希望を話して、弁護士に戦略を示してもらう
事実関係をもとに、この相続におけるご自身の希望を伝え、弁護士の考える戦略を聞きましょう。
ご希望をかなえるための戦略は必ずしも1通りではなく、弁護士によって見解が分かれる可能性があります。
たとえば、交渉により進めるのか、もしくは、裁判手続きを進めるのか、裁判手続きを進める場合は、どの裁判手続きを利用するかなど、複数の戦略が考えられます。
納得できるまでその弁護士が考える戦略を聞き、ご自身にとってしっくりくるかどうか考えてみることをおすすめします。
3 リスク(見込み)の説明をしてもらう
戦略を聴くとの同じくらい大切なのは、リスクの説明を聴くことです。
ごく簡単な相続の事件でなく、相続人間の争いが大きいと、最終的にご自身が得られる取得分や、取得できる財産の種類などは、法律に従って全ての事情をもとに裁判所が判断し、その場合には希望する財産が取得できない可能性もあります。
法律は科学ではないので、「何%」という正確な数字を示すことはできませんが、ご自身の希望が叶えられる見込みについては、しっかりと納得できるまで説明を聞いておくことが重要です。
そして、希望が実現できそうにないならば、他の希望を検討することも大切です。
4 弁護士費用の説明をしてもらう
相続相談に限った話ではありませんが、もし弁護士に依頼した場合にどのくらい費用がかかるのか、あらかじめ聴いておくことはとても重要です。
例えば、ご希望の取得財産が現在お住まいの住居で、現預金は得られそうにない場合、弁護士費用はご自身の財産から持ち出しをしなければならないかもしれません。
このような場合、弁護士費用が支出できるのかどうかをあらかじめ検討しておく必要があります。
なお、弁護士費用については、事案の内容や依頼される弁護士事務所ごとによっても異なりますので、詳細は、依頼される弁護士事務所でご確認ください。
5 大まかな手続きのスケジュールの説明をしてもらう
当事者間での手続き、裁判所での手続き、金融機関での手続き、法務局での手続き、税務署での手続きなど、相続の手続きは多岐にわたり、非常に複雑かつ煩雑です。
相続に詳しい弁護士であれば、これらの手続きに精通していますので、もしご相談の結果依頼しないことになったとしても、手続きのスケジュールなどを聞いておくと有用です。
また、相続手続きの中には、3か月以内などの期限が存在するものもありますので、その点においても、事前に全体のスケジュールを把握しておくことは非常に重要です。