相続の弁護士費用
相続の弁護士費用の目安
1 費用の名目について
弁護士は、業界の慣行として、着手金と成功報酬金という2段階で費用をいただくことが多くあります。
着手金は、ご依頼いただいたときにお支払いいただく費用であり、成功報酬金はご依頼内容が終了したときに、その成功の度合いに応じてお支払いいただく費用となります。
さらに、弁護士事務所によっては、裁判手続き等を行う場合、追加着手金という名目で手続きごとに追加の費用がかかるケースがあります。
たとえば、調停の場合は、10万円を追加し、審判の場合は、さらに10万円を、訴訟の場合は、また10万円を追加するなどです。
また、書類の作成をご依頼いただく際には、着手金と成功報酬金という形ではなく、手数料という形でいただく場合があります。
これは、書類の作成だと、成功不成功という概念がなじまないため、書類等を作成したこと自体に対する手数料としての費用です。
その他に、実際にかかった時間に応じて報酬をいただく時間制報酬(タイムチャージ)という場合もあります。
また、ご依頼を進めるにあたってかかる実費については、別途ご負担いただくことがあります。
なお、実際の名称については、それぞれの弁護士事務所により異なる場合がありますので、詳細は、ご相談いただく弁護士事務所にご確認ください。
2 費用の決まり方について
⑴ 弁護士の費用の考え方
弁護士の費用の考え方としては、以下の2つがあります。
① お客様がご依頼した内容について、お客様にどれだけ利益がもたらされるかにより費用が変わるという考え方。
② 実際に業務によりかかる時間に応じて費用が変わるという考え方。
上記2つのうち、着手金と成功報酬金という体系で費用をいただくのは①の考え方、時間制報酬により費用をいただくのは②の考え方によります。
手数料は、実際にかかるであろう見通しを踏まえて手数料額を決めるため、②の考え方によるといえます。
⑵ 相続分野における費用の決まり方
相続分野については、一般には以下のように考えられます。
相続放棄、遺言書作成等の場合には、業務にかかる時間の見通しが比較的立てやすいことから、②の考え方に基づき、定額であるほうがお客様にとって便宜であることから、手数料とすることが多いといえます。
遺産分割、遺留分侵害額請求などの紛争の場合には、弁護士の力量によりお客様が得る利益が変わるため、その利益の額に応じて費用をいただくことが納得しやすいこと、実際にかかる時間がわからず、時間制報酬では想定以上の高額になる可能性があることから、①の考え方に基づき着手金及び成功報酬金とすることが多いといえます。
3 相続の弁護士費用の目安について
以前は、弁護士の費用は日本弁護士連合会報酬等基準に定められており、各弁護士は同基準に従った費用をいただいておりました。
しかし、弁護士法の改正により、弁護士費用が自由化されたため、いくらかかるかは各弁護士により様々となっています。
たとえば、遺言書作成の場合、弁護士費用として、一般的に15万円~30万円程度の事務所が多い印象です。
他方、遺産分割の場合、着手金で10万~40万円、成功報酬で十数パーセントという事務所が多い印象です。
もっとも、事務所ごとによって、着手金が0円であるところや、遺産分割などの紛争案件でも、時間制報酬を採用しているところもあり、実際の費用については、ご相談される事務所にお問い合わせください。
当法人の場合だと、遺産分割によりお客様が実際に得た利益が2000万円の場合、相続財産の範囲及び相続分に争いがない場合には、着手金0円、報酬金130万円に消費税を加えた金額と、その他実費等をいただくこととなります。
なお、事件等の内容及び難易度並びに相続人の数等に応じて、減額あるいは増額する場合や、時間制報酬とする場合があり、詳細は、ご相談の際にお伝えいたします。