弁護士による相続相談【弁護士法人心 名古屋法律事務所】

親の事業をタダ同然で手伝っていたのですが寄与分として考慮されないのですか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年5月18日

1 寄与分とは

相続人の1人が、親の事業を手伝っていた場合には、法律上寄与分として考慮される可能性があります。

寄与分とは、被相続人のために特別な貢献をした場合(条文上は、「特別な寄与」とされています。)に、これを相続分の算定においてプラスに考慮するものです。

ただし、注意しなければならないのは、そのような「貢献」によって被相続人の資産が増加または維持されたことを証明する必要があるということです。

2 事業に対する労務の提供

「被相続人の事業に関する労務の提供」は、寄与分として認められる可能性があるものとして、民法の条文にも挙げられています。

労務の提供とは、労働力を相手方に供給することを意味しますが、当該労務の提供が「特別の寄与」である必要がありますので、すべてが寄与分として認められるわけではありません。

労務の提供が特別の寄与として認められるか否かは、労務に従事した期間や従事の態様、報酬の有無や額、被相続人による生活費の負担の有無、他の相続人との均衡などが考慮されるといわれています。

また、労務の提供に対して、一応の対価が支払われたときも「支払われた賃金や報酬等が提供した労務の対価として到底十分でないときは、報いられていない残余の部分については寄与分と認められる余地があると解される」と判断する裁判例もあります。

したがって、事業への協力が寄与分として考慮されるかどうかは、総合的な判断になるため、上記の諸要素を踏まえて検討をしなければなりません。

3 弁護士への相談

事業に関する労務の提供として、寄与分が認められるかどうかは、個別のケースごとに検討することになります。

この点については、裁判例で認められたケースや、逆に認められなかったケースなどを参照して、それらと比較しながら検討する必要があります。

したがって、この点が相続人間で争われた場合には、弁護士にご相談されることをおすすめします。

当法人では、相続に関するご相談もお受けしておりますので、この点でお悩みの方はお気軽にご連絡ください。

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