相続人が多数いる場合の相続について
1 相続人の特定
相続人が多数いる場合、まず大変となることは、相続人の特定です。
被相続人の出生から死亡までの戸籍取得等、被相続人自身の相続人確定のための戸籍類が必要なことは当然ですが、相続の相続が発生している場合にはさらに次の相続について、全ての相続人を確定させていく必要があります。
相続人が10人を超えてくると、市区町村に対する戸籍請求を数十回はしなければなりませんし、より相続人が多いケースでは100回を超えることも珍しくありません。
2 どのようにして相続人と遺産分割協議を成立させるか
相続人が多数のケースでは、一同に会することもできず、持ち回りで郵送することも時間的に難しく、1枚の遺産分割協議書に割印をすることも物理的に困難です。
そのため、遺産分割協議書の作成が不可能であることが少なくありません。
そういった場合、相続人ごとに作成する遺産分割証明書か、または相続分譲渡証書を作成することになります。
しかしながら、相続人が多数の場合には、相続人の一部と連絡が取れないことや、署名捺印に応じてもらえないことも珍しくありません。
その場合には、裁判所の遺産分割審判手続を利用して、審判にて解決を図ることになります。
審判手続においては、まず、裁判所から相続人の全員に書面を送達し、連絡を取りますが、相続人の一部と連絡が取れない場合には、申立人が現地調査等を行って、付郵便送達や公示送達をすることになります。
審判の場合にも、各相続人の相続分の計算等は申立人側が主張しますので、審判手続についても専門家が関与する必要があります。
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